「電気温水器とエコキュートの違い、正直あまりよくわからない…どっちを選ぶべきなの?」
そうお悩みではありませんか?
どちらも電気給湯機であることには変わりありませんが、両者にはたくさんの違いがあります。
そこで今回は、電気温水器とエコキュートの違いについて解説していきます!
メリット・デメリットやおすすめな理由についても解説していくので、この記事を読めばエコキュートと電気温水器の違いについて悩むことはもうありません!
それでは早速、それぞれの特徴について解説していきます。
目次
エコキュートと電気温水器の違い
2001年に誕生した「エコキュート」は、C02を冷媒としたヒートポンプ給湯器です。
エコキュートと電気温水器は、どちらも電気でお湯をわかすという点では共通しています。
ここでは、エコキュートと電気温水器の2種類の機器の違いを以下のポイントから解説していきます。
エコキュートと電気温水器の違い1:電気代
エコキュートと電気温水器の違い1つ目は、電気代です。
基本的に電気温水器に比べてエコキュートの方が電気代を安く抑えることができます。
夜間の電気代が安い時間帯にお湯を沸かして貯めておき、日中にそのお湯を使用するという仕組みは共通しています。
しかし、同じ電力を使用した場合にはエコキュートでは3〜6倍の熱エネルギーを生み出すことができます。そのため、エコキュートのほうが電気代は安く済みます。
2016年に電力の小売全面自由化が始まってから、各社がさまざまなプランを打ち出しています。主要な電力会社の夜間電気料金を表にまとめました。
電力会社 | プラン | 夜間電気料金 (1kWh) |
---|---|---|
北海道電力 | エネとくスマートプラン | 28.99円 |
東北電力 | よりそう+スマートタイム | 29.86円 |
東京電力エナジーパートナー | スマートライフS | 27.86円 |
北陸電力 | くつろぎナイト12 | 26.98円 |
中部電力 | スマートライフプラン | 16.52円 |
関西電力 | はぴeタイムR | 15.37円 |
四国電力 | でんかeプラン | 33.78円 |
中国電力 | 電化Styleコース | 30.35円 |
九州電力 | 電化でナイト・セレクト | 14.59円 |
沖縄電力 | Eeホームホリデー | 28.79円 |
例えば、東京電力エナジーパートナーの場合を見てみましょう。
東京電力エナジーパートナーのオール電化向けの「スマートライフS」プランの場合、午前1時〜午前6時の間は 27.86円/kWh、その他の時間帯は35.76円/kWhと、夜間の電気料金がお得になっています。
表のプランは一例なので、各ご家庭の生活リズムにあったプランが具体的な金額が知りたい方は、契約している電力会社のHPをチェックしてみてくださいね。
エコキュートと電気温水器の違い2:お湯の沸かし方
エコキュートと電気温水器の違い2つ目は、お湯の沸かし方です。
エコキュートと電気温水器は、お湯を沸かすのに電気を使用します。
電気温水器は、熱源が電気ヒーター(電熱器)で、電気ポットと同じ仕組みで水を温めます。対して、エコキュートの熱源はヒートポンプであり、屋外の熱とわずかな電気を併用してお湯を作ります。
気体は圧縮されることで熱を持つという性質があり、中でも二酸化炭素は高温を生み出すのに適しています。
そういった性質を利用してエコキュートはヒートポンプでお湯を沸かすという仕組みです。
同じ電力を使用したときに、エコキュートでは3〜6倍の熱エネルギーを生み出すことができます。
電気の力を利用するのは最小限に抑え、残りを再生可能エネルギーでまかなうことで効率的に、かつエコにお湯を沸かすことが可能です。
エコキュートと電気温水器の違い3:設置スペース
エコキュートと電気温水器の違い3つ目は、設置スペースです。
電気温水器は貯湯タンクユニットのみですが、エコキュートは貯湯タンクユニットに加えてエアコンの室外機のようなヒートポンプユニットを設置しなければなりません。
その分設置スペースが必要なため、エコキュートを検討している場合にはスペースの確保が必要です。
ちなみに、マンションなど集合住宅向けのコンパクトタイプのエコキュートも販売されているので、チェックしてみてください。
エコキュートと電気温水器の違い4:補助金
エコキュートと電気温水器の違い4つ目は、補助金です。
エコキュートは、国や自治体から補助金が出る場合がありますが、電気温水器は補助金対象外となっています。2024年現在、国によるエコキュートへの補助金は「給湯省エネ事業」で、上限5万円が補助されます。
また、自治体によっては、独自の補助金制度を設けているところもあります。
電気温水器は本体価格が10万円〜25万円程度、工事費用が7万円〜10万円程度となっています。よって、合計金額は17万円〜35万円程度です。
本体価格はメーカーや機能、タンク容量によって大きく異なり、また工事費用も設置する過程の状況によって異なります。
エコキュートのメリット・デメリット
エコキュートのメリット
電気温水器と比較した際のエコキュートのメリットは以下の通りです。
ランニングコストが非常に低い
エコキュートは電気温水器と比較した場合にランニングコストが非常に低いのが特徴です。
地域によって違いはありますが、電気温水器ではエコキュートより電気料金が3倍ほどかかることもあります。特に貯湯式の電気温水器の場合は、保温にも電気を使用するため、その分電気料金がかかります。
1日あたりで考えると、電気温水器が90~150円かかるのに対し、エコキュートは30~40円で済みます。
また、エコキュートは電気とともに再生可能エネルギーである外気の熱を利用してお湯を沸かすという仕組みであり省エネ性が高いのが特徴です。
省エネ性能が高い
近年、空気中の二酸化炭素が増えることでオゾン層の破壊につながるとして、脱炭素化に向けた環境問題が盛んに叫ばれています。
エコキュートはガス給湯器のようにガスを燃焼をさせることもなく、また消費電力も電気温水器と比較して非常に少ないため、CO2排出量の削減にも貢献しています。
エコキュートは電気使用量を抑えられることから、電気を発電する火力発電に利用する石炭や石油などの使用量を減らす効果も期待でき、光熱費を抑えるだけでなく、SDGsにも貢献する地球に優しい製品といえます。
非常時に貯湯タンクの水を飲料水として利用できる
貯湯式であるエコキュートは、非常時には貯湯タンク内の水を利用できます。
災害時に断水や停電が起こっても、タンクに貯蔵した分を非常用水や生活用水として使用できる作りとなっています。
ただし、基本的に飲用水としてそのまま使うことはできない点には注意が必要です。飲用に使う場合には、一度沸騰させる必要があります。
災害時の備えとして飲用水は別で用意しておき、エコキュート内の水はトイレや洗い物用の水として使用することをおすすめします。
補助金を活用できる
エコキュートは省エネ性が高いため、国や自治体から導入の補助金が受けられる場合もあります。
2024年現在、「給湯省エネ事業」を利用することで、エコキュート導入時に補助金を活用できます。
また自治体でも数千円から数万円の補助金を受け取れるケースがあります。支給条件や支給額は自治体によって異なるため、まずは補助金の有無をお住まいの自治体に確認しましょう。
エコキュート補助金の申請には、メーカーや機種、購入店などの条件が設定されている場合があります。そのため、対象となるかどうか事前に確認しておきましょう。
エコキュートのデメリット
ここからは、エコキュートのデメリットを解説します。
設置費用が高い
エコキュートの設置は、電気温水器よりも費用がかかります。
ただし、電気温水器より月々の光熱費が安いため、中長期の費用で比較した際にランニングコストで回収することができます。補助金を利用し導入費用を抑えることで、費用対効果が逆転するまでの期間も短くなります。
結果的には割安になるため、導入費用を確保できるのであればあまり気にする必要はないといえます。
お湯を切らすとお湯切れを起こすケースも
エコキュートは貯湯式となっており、一般的に電気代が安い時間帯にまとめて沸かしてお湯を溜めておく仕組みです。
沸き上げる湯量を減らすことで電気代を抑えることができますが、溜めている湯量以上にお湯を使うとお湯切れに繋がります。
お湯切れが起きるとお湯を再度沸かすまでに一定時間かかるため、予定どおりにお風呂を焚かすことができなかったり、洗い物が進まなかったりということも考えられます。
日中にお湯切れを起こした場合は、電気料金の高い日中に沸かすことになり電気代もかさんでしまいます。これでは節約どころか、かえって電気代がかさむため湯量はしっかり計算してお湯を使うことが大切です。
水圧が弱くなる
エコキュートは、一般的な電気温水器と比べて水圧が弱い機種があります。貯湯タンクに水を入れる際に減圧弁を使用して水圧を下げる必要があるためで、シャワーや蛇口をひねったときの勢いが物足りないと感じる方もいるかもしれません。
こういった懸念がある場合は、高圧給湯タイプのエコキュートを選びましょう。水道直圧式であれば瞬間式と変わらない水圧でエコキュートを利用可能です。
もしくはシャワーヘッドを変えることで水圧を調整することもできます。
定期的なメンテナンスが必要
10~15年といわれるエコキュートの寿命を少しでも伸ばすためには、定期的なメンテナンスを行う必要があります。定期的な浴槽フィルター掃除、漏電遮断器や逃し弁の点検、風呂配管の掃除といった作業が必要です。
エコキュートの汚れや、本体のすぐ近くにものが置かれている場合も故障につながることがあるため注意しなければいけません。また、冬の寒い時期には配管が劣化しやすくなります。アルミシートなどで保温することをおすすめします。
エコキュートは半導体など精密機器が使われており、強い衝撃にも注意が必要です。
エコキュートの交換には30~60万円程度と大きな金額がかかってくるので、できるだけ長持ちさせるためにもメンテナンスが重要になります。
騒音が気になるケースも
エコキュートは電気温水器に比べて稼働時の音がやや大きく、機種にもよりますが40db程度の音が発生します。40dbというと図書館や閑静な住宅地に相当する音で、音の大きさはそこまで気にする必要はないかもしれません。
ただし音としては小さいものの低周波音も発生する場合があり、人によっては不快感や大きく聞こえる可能性もあります。
エコキュートを設置する際には、寝室から話した場所に設置するなど騒音が聞こえにくいような対策をしておくといいでしょう。
ガス給湯器のようにガスを燃焼をさせることもなく、また消費電力も電気温水器と比較して非常に少ないためCO2排出量の削減にも貢献しています。
そして、エコキュートは省エネ性が高いモデルであることから、自治体によっては導入に対して補助金が出ることもあります。
支給条件や支給額は自治体によって異なるため、まずは補助金の有無を暮らしている地域の自治体に確認するようにしてみましょう。
電気温水器のメリット・デメリット
対して、電気温水器のメリットとデメリットもチェックしていきましょう。
電気温水器のメリット
電気温水器のメリットは以下の3つです。
では、順に解説していきます。
安全性が高い
電気温水器は、電気の力でお湯を沸かす仕組みであるため、ガス給湯器のように火を使いません。そのため、火災のリスクが低く安全性が高いのがメリットです。
また、ガスを燃やすことがないため、一酸化炭素の不完全燃焼で中毒を起こすリスクも避けられます。
非常時にもお湯や水が出る
貯湯式の電気温水器は、タンクの中にお湯を貯められます。
そのため、災害時に停電した時などでも非常用取水栓から水を取り出して生活用水に使えるので安心です。
ただし、エコキュート同様にそのまま飲用水として使えるわけではないため、その点は注意しましょう。
音が静か
電気温水器は静音性が高く、稼働中ほぼ無音です。
ガス給湯器は使用するたびにガスを点火するためファンの音がしますし、エコキュートもある程度の稼働音がします。
電気温水器なら、隣近所への騒音を心配する必要がありません。
電気温水器のデメリット
電気温水器のデメリットは以下の3つです。
では、順に解説していきます。
湯切れする場合がある
貯湯式の電気温水器は、エコキュートと同様に湯切れすることがあります。
電気代が安い夜間に沸かして保温しておき、日中に使うといった使い方が多いため、途中でお湯が足りなくなれば、電気代が高い昼間に沸かさなくてはなりません。
水圧が低い
貯湯式の電気温水器は水圧が低くなるというデメリットがあります。貯湯式の電気温水器は、水の圧力を下げてタンクに貯める仕組みであるため、水が水道管から出てくる時の圧力のまま使用することはできません。
ただし、瞬間式の電気温水器であれば、ガス給湯器と同様に強い水圧のまま使用できます。
ランニングコストが高い
電気温水器はエコキュートよりもランニングコストがかかります。
これは、電気温水器が電気だけでお湯を作るのに対し、エコキュートは電気だけでなく大気中の熱を利用するため消費電力を大幅に抑えられるからです。
電気温水器は初期費用こそエコキュートより安く抑えられますが、ランニングコストも踏まえて長い目で見ると、電気温水器の方が総コストは高くなります。
電気温水器とエコキュートどちらがおすすめ?
電気温水器とエコキュートは貯湯タンクに沸かしたお湯を貯めておくという共通点もありますが、お湯の沸かし方など明確に違いがある部分もあります。
そのため、どのような人は電気温水器がいいのか、そしてどのような人はエコキュートがいいのかということについて解説していきます。
電気温水器がおすすめな人
電気温水器がおすすめな人は「導入コストを抑えたい人」です。
電気温水器とエコキュートを比較した際に最も大きなメリットは導入コストの低さにあります。
前述したように交換サイクルも長いため、例えば40年間でエコキュートであれば2回の買い替えが必要なのに対して電気温水器では1回で済む可能性があります。
また、「設置スペースがあまり確保できない人」も電気温水器の方がおすすめです。
電気温水器が貯湯タンクのみを設置すればいいのに対して、エコキュートでは貯湯タンクと、ヒートポンプユニットの設置が必要になります。
ヒートポンプユニット分のスペースを余分に確保しなければならないため、都心など土地に余裕がないような場合などは電気温水器の方が導入しやすいでしょう。
さらに、エコキュートは低周波による騒音問題もあります。自宅はもちろん、近隣住民の寝室近くへの設置も避けるのが無難です。
と言うのも、エコキュートは電気代が安い深夜の時間帯にお湯を沸かすため、多くの方が就寝している深夜に稼働します。そして、稼働しているからこそ低周波音を発生させます。
そのため、寝室近くに設置した場合には騒音問題で訴訟になる可能性もあるため、設置場所にも気を配らなければなりません。
エコキュートがおすすめな人
エコキュートがおすすめな人は「導入コストが高くなってもいい人」です。
エコキュートは電気温水器と比較して導入コストが高くなってしまうのがデメリットではありますが、ランニングコストは電気温水器と比較して非常に低くなります。
ランニングコストはお住まいの地域によっても違いますが、その差は年間で3万円〜10万円程度です。
平均で5万円程度の差だったとしても10年間使用すれば50万円の差となり、導入コストの差を十分に回収することができます。
このように、長い目で見ればエコキュートの方がお得になる可能性が高いため、導入コストが高くなっても問題ないのであればエコキュートが選択肢になるでしょう。
また、「環境問題に意識がある人」もエコキュートがおすすめです。
前述したように、エコキュートは大気中の熱とわずかな電力を利用してお湯を沸かします。
お湯を沸かすための力の大部分は大気中の熱という再生可能エネルギーであり、消費する電力もわずかで何かを燃焼させることもないため環境には非常に優しい給湯システムです。
特に、エコキュートはオール電化住宅との相性が良いという特徴もあります。固定価格買取制度終了後はエコキュートで自家消費する方も多いですし、太陽光発電を利用して昼間にお湯を沸かす「おひさまエコキュート」も人気です。
環境問題に意識がある人や省エネ性能の高さを求めている人にはエコキュート一択と言ってもいいかもしれません。
エコキュートは、パナソニックや三菱電機、ダイキン(DAIKIN)などさまざまなメーカーから販売されています。生活スタイルに合わせて適切なエコキュートを選ぶためにも、こちらの記事でメーカーによる違いをチェックしてみてくださいね。
まとめ
電気温水器とエコキュートは電気料金の安い深夜の時間帯にお湯を沸かし、沸かしたお湯を貯湯タンクに貯めるという共通点があります。
共通している部分がある一方で明確に違う部分もあり、その違いを理解しておかなければどちらを購入すればいいのかを決めることができません。
電気温水器とエコキュートのどちらが優れているというわけではなく、どちらのメリットが自分の暮らしには合っているかを考えながら選択するといいでしょう。